自治体・事業者ごとに分散する資源循環データを、国レベルでつながる共通基盤へ。「ナショナル・マテリアル・サイクル・プラットフォーム(NMCP)」は、市区町村の分別収集から中間処理・再商品化、再生材製造、製品利用までを一本の流れでつなぎ、再生材の「量・質・由来」を証明する全国規模の資源循環トレーサビリティ基盤です。本ソリューションは、国・自治体・指定法人・再商品化事業者・メーカーによる基盤の構築・運営・参加を支援します。
提供するのは、加入後すぐに使う既存サービスではありません。制度と産業をまたぐ共通インフラとして、「どの主体が、どのデータを、どのように流すか」という設計から立ち上げ、関係者を巻き込みながら段階的に育てる構築支援です。実測(組成・物性分析)による品質の裏づけと、制度動向の調査に基づく設計を組み合わせ、次の全体像のように、回収から製品利用までの各主体を、再生材の量・質・由来を一貫して追跡できるデータの流れでつなぎます。

再生材を「循環する資源」として機能させるには、量・質・由来を主体横断で確認できる共通基盤が不可欠です。しかし現状は、データが自治体・指定法人・事業者に分散し、再生材の証明インフラも整っていません。基盤の構築・運営・参加に関わる各主体は、次の課題に直面しています。
改正資源有効利用促進法で再生プラスチックの利用計画・報告が義務化されましたが、供給量・品質・由来を確認する全国共通の仕組みがなく、報告データの真正性を裏づけられません。次期制度の検討に使える、マテリアルフロー全体を横断するデータも手元にありません。
分別収集した資源が最終的にどの再生材・製品になったのかを追えず、住民や議会に循環の成果を説明しにくい状況です。モデル事業で生まれた回収・リサイクルの好事例を、データに基づいて他地域へ横展開する仕組みもありません。
容リ法・プラ新法の分別収集から再商品化までのデータが自治体・指定法人・事業者に分散し、マテリアルフロー全体を追えません。参加主体ごとにデータ様式が異なるため、集約・突合に多大な手間がかかります。
自社の再生材の品質・由来を客観的に証明する共通の物差しがなく、取引が価格競争になりがちです。再生材を必要とするメーカーとのマッチングも属人的で、需給の見通しが立ちません。
EUのDPP/PPWR対応で再生材含有率の証明を求められますが、国内には証明インフラがなく、マスバランス方式に対応した含有率証明を調達できません。調達先ごとに証跡の様式が異なり、輸出製品の説明責任を果たしにくい状況です。
これらの課題への対応が急がれる理由は、国内外の制度が再生材の「証明」を一斉に求め始めたためです。国内では、改正資源有効利用促進法が2026年4月1日に全面施行されました。柱は「再生プラスチックの利用義務化」と「リチウム蓄電池内蔵製品の回収・再資源化促進」で、対象は自動車、家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)、容器包装(食品〈指定PETボトルを除く〉・医薬品等を除く)の製造事業者等です。〔出典: 改正資源有効利用促進法(2026年4月1日全面施行)〕
さらに「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」制度が新設され、対象事業者には再生プラスチックの利用目標を含む計画の提出が義務づけられました。初回計画は2027年6月末までに提出し、2028年度以降は前年度実績の定期報告を毎年実施します。対象規模は、容器包装が年間製造・輸入量1万トン以上、家電4品目が各5万台以上、自動車が1万台以上です。報告事項には「再生プラスチックの利用量/利用率」「国産再生プラスチックの利用量」が含まれます。資源有効利用促進法 再生材利用計画の実効性を確保するには、再生材の供給量・品質・由来を確認できる全国共通の仕組みが必要です。〔出典: 指定脱炭素化再生資源利用促進製品制度(初回計画2027年6月末提出・2028年度以降定期報告)〕

国外では、EUの「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」が2025年2月11日に発効し、2026年8月12日から段階適用が始まります。プラスチック包装へのリサイクル材使用が義務化され(2030年以降、飲料ボトル等30%、その他プラ包装35%以上等)、企業には包装ごとの再生材率等の報告義務と、リサイクル材含有率を証明するエビデンスの提出が求められます。トレーサビリティ確保の仕組みとしてデジタル製品パスポート(DPP)が規定されており、EU輸出を行う日本企業は、再生材含有率を証明できる基盤なしには取引を継続しにくくなります。〔出典: EU 包装・包装廃棄物規則(PPWR、2025年2月11日発効・2026年8月12日から段階適用)〕
国内外で高まるデータ証明の要請に対し、日本は産業横断のデータ連携基盤で応えようとしています。経済産業省は、企業・業界・国境をまたぐデータ連携・システム連携の枠組みとして「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」を推進し、DFFT(信頼ある自由なデータ流通)を政策テーマに据えています。先行ユースケースは、自動車・蓄電池のカーボンフットプリント算出に向けたデータ連携で、欧州のCatena-X等との相互運用性確保にも取り組んでいます。本ソリューションは、資源循環トレーサビリティをウラノス・エコシステムのデータ連携標準に準拠して設計し、国内の制度報告と海外のDPP要件に一貫したデータで応えられる基盤を目指します。〔出典: 経済産業省 ウラノス・エコシステム〕
制度対応に必要なのは、分散したデータを集めるだけでなく、その根拠を追跡・証明できる仕組みです。本ソリューションは、回収から製品利用までを貫くマテリアルフローの一元追跡と、実測データに基づく再生材の品質・由来証明を核に、資源循環に必要な業務を一つの基盤へ統合します。現場のPain(課題)、それを解決するSolution(提供機能)、実現を支えるTechnical Enabler(技術要素)を、6つの機能領域で整理します。

| 機能領域 | Pain(課題) | Solution(提供機能) | Technical Enabler(技術要素) |
|---|---|---|---|
| マテリアルフロー・トレーサビリティ | 回収〜再商品化〜製品の流れが分断され追えない | バッチ/ロット単位で「どの自治体・拠点で回収された資源が、どこで再商品化され、どの製品に使われたか」を追跡 | ウラノス・エコシステム準拠のデータ連携標準/ロット・バッチID管理 |
| 再生材 品質・由来証明 | 品質・由来を測る共通の物差しがなく価格勝負になる | 組成・物性分析の実測データに基づく品質グレード付与と、再生材含有率のデジタル証書発行(マスバランス方式対応) | 組成・物性分析データ/デジタル証書・DPP連携出力 |
| 制度報告の自動化 | 資源有効利用促進法・容リ法・プラ新法の報告が手作業で負担 | 再生材利用計画・実績報告、容リ法・プラ新法の各種報告データを基盤から自動生成 | 報告様式テンプレート/データ集計エンジン |
| 再生材 需給マッチング | 需要側と供給側のマッチングが属人的 | 再生材を必要とするメーカーと再商品化事業者を品質グレード・量・地域でマッチング | マッチングロジック/需給・在庫台帳 |
| 政策モニタリングダッシュボード | 回収率・再商品化率等の政策KPIをリアルタイムに把握できない | 国・自治体向けに回収率、再商品化率、再生材利用率、経費指標を可視化し政策KPI管理・次期制度検討に活用 | BIダッシュボード/KPI集計・時系列分析 |
| モデル事業ナレッジ連携 | 好事例がデータで横展開されない | 採択事業の実証データ(回収量増加・品質改善等)を標準形式で取り込み、他地域への横展開判断を支援 | 標準データ取込/ナレッジDB |
これらの機能は、作業の効率化にとどまりません。データの取得元、分析の根拠、承認履歴を基盤上に一貫して残し、第三者検証や監査、EUのDPP要件に耐える「根拠の残る運用」を実現します。再生材の証明、マテリアルフローの追跡、制度報告、需給マッチングを同じ基盤でつなぐことで、参加主体が増えても、再生材の量・質・由来を横断的に確認できる状態を維持します。

全国共通基盤の意義は、各主体が個別に負担してきた「証明・報告・突合」を、再現性のある仕組みに置き換えられることです。主な効果は三つあります。第一に、資源有効利用促進法・容リ法・プラ新法の制度報告にかかる工数の削減。第二に、共通基盤から再生材含有率証明を取得することによる証明コストの削減とEU対応(DPP/PPWR)の迅速化。第三に、需給マッチングによる再生材の安定調達・安定販売です。さらに国・自治体には、政策KPI ダッシュボードで循環実態をリアルタイムに把握できる、金額換算しにくい大きな価値も生まれます。
ROIは、次の変数と計算式で見積もることを提案します。実際の数値は、対象製品・報告件数・証明件数・取引量・関係者数によって大きく変動するため、自社の前提を入力してご検討ください。
【試算例(一参加組織の視点。仮定に基づく試算であり、実際の効果・金額を保証するものではありません)】たとえば、制度報告・実績報告の年間工数が従来400人日から150人日へ減り、人件費単価を3万円/人日と仮定すると、工数削減額は750万円です。再生材含有率証明を年間120件発行し、1件あたりの証明コストが従来5万円から基盤利用時1万円へ下がると仮定すると、証明コストの削減額は480万円です。さらに需給マッチングで年間1,000tの成約があり、機会価値を2,000円/tと仮定すると200万円です。合計の年間便益は約1,430万円。基盤の年間運用コストを仮に500万円とすれば年間純便益は約930万円となり、参加・連携構築の初期コストが1,500万円なら投資回収期間は約1.6年という計算になります。数値はすべて説明のための仮定値です。
本文の計算式(年間便益=制度報告の工数削減額+証明コスト削減額+需給マッチングの機会創出)に基づく試算ツールです。数値を自社の前提に置き換えて目安をご確認いただけます。実際の効果を保証するものではありません。
全国規模の基盤は、最初から全機能・全参加主体を作り込むのではなく、対象を絞って実証し、成果を確認しながら段階的に広げることが重要です。本ソリューションでは、まずモデル事業の採択案件を対象に、回収から再商品化までのトレーサビリティを実証します(第1段階)。次に、容リ協会・主要自治体・再商品化事業者へ参加を拡大し、再生材証明のデファクト化を進めます(第2段階)。最終的には、資源有効利用促進法の報告インフラ・DPP発行基盤として国の制度に組み込む提言へつなげます(第3段階)。このモデル事業 横展開の考え方を、構築支援のプロジェクト工程として次のように整理します。以下の概算工数・期間はいずれも一般的な目安であり、対象範囲・参加主体数・要件により変動します。固定金額・納期を確約するものではありません。

| 工程 | 概要 | 主な成果物 | 概算工数 | 期間目安 |
|---|---|---|---|---|
| FS(フィジビリティスタディ) | 対象範囲・参加主体・制度適合性を整理し、実証(モデル事業案件等)の実現性と事業性を評価します。 | FS報告書・事業性評価・制度適合性整理 | 2〜5人月 | 2〜3ヶ月 |
| 要件定義 | 追跡単位・データ項目・証明ルール・ガバナンスを定義し、ウラノス・エコシステム準拠のデータ連携仕様を確定します。 | 要件定義書・データ連携仕様書・ガバナンス/運用方針 | 5〜12人月 | 3〜5ヶ月 |
| 設計 | 基盤アーキテクチャ、品質グレード・含有率証書(マスバランス方式)、制度報告様式、セキュリティを設計します。 | 基本・詳細設計書・セキュリティ設計書 | 8〜18人月 | 3〜6ヶ月 |
| 開発 | トレーサビリティ、品質・由来証明、制度報告自動化、需給マッチング、ダッシュボード、ナレッジ連携を実装します。 | 実装済みシステム・API・ソースコード | 20〜60人月 | 6〜12ヶ月 |
| テスト | モデル事業採択案件等でパイロット実証し、データ連携・証明・報告の妥当性と第三者検証耐性を確認します。 | テスト計画書・結果報告書・パイロット実証結果 | 6〜15人月 | 3〜6ヶ月 |
| 運用 | 参加主体を拡大しながら運用を定着させ、政策KPIの継続提供と横展開・制度組み込みを支援します。 | 運用手順書・SLA・横展開/制度提言計画 | 継続(月2〜6人月規模) | 継続 |
全国基盤は小さく実証してから広げる前提のため、初期はFSから要件定義に重点を置き、開発以降は対象分野・参加主体を段階的に拡張する進め方を推奨します。
段階的に構築する場合でも、目指すべき運用モデルを初期段階で共有する必要があります。従来の資源循環では、分別収集から再商品化までのデータが自治体・指定法人・事業者に分散し、再生材の品質・由来は各社の自己申告に委ねられてきました。全国共通基盤の導入後は、これらの業務を一貫したデータの流れとして再現できます。主な違いは次のとおりです。
| 観点 | 従来手法(分散管理・手作業) | 全国トレーサビリティ基盤の導入後 |
|---|---|---|
| データ管理 | 自治体・指定法人・事業者に分散、Excel・紙で突合 | 全国共通のマテリアルフロー基盤で一元追跡・可視化 |
| 再生材の品質・由来 | 事業者ごとの自己申告、共通の物差しがない | 実測データに基づく品質グレードとデジタル証書で客観化 |
| 再生材含有率の証明 | 証明インフラがなくEU(DPP/PPWR)対応が困難 | マスバランス方式対応の含有率証明・DPP連携出力 |
| 制度報告 | 様式ごとに手作業で作成、真正性の担保が難しい | 基盤から報告データを自動生成し根拠を保持 |
| 需給マッチング | 属人的・相対中心で需給が見えない | 品質グレード・量・地域でマッチング |
| 政策KPIの把握 | 事後集計中心で横断把握が困難 | ダッシュボードで回収率・再商品化率等をリアルタイム可視化 |
違いの本質は、作業の速さではなく「再現性と説明可能性」です。参加主体が増え、国内制度と海外(DPP/PPWR)の要請が重なるほど、分散管理・手作業の運用は破綻しやすくなり、全国基盤との差が広がります。
全国基盤の価値は、共通の仕組みを各主体の業務に落とし込んで初めて具体化します。本ソリューションには、現時点で公表できる自社導入実績はありません。ここでは、これまでに示した機能と制度背景をもとに、参加主体別の活用イメージを紹介します(いずれも一般的な想定であり、特定の導入事例を示すものではありません)。
政策担当者(環境省・経済産業省など):モデル事業の採択案件を対象に、回収から再商品化までのトレーサビリティを実証します。得られたマテリアルフローデータを、次期制度の設計や政策KPI管理に活用します。
自治体(都道府県・市区町村):分別収集した資源の行き先を可視化し、循環の成果を住民・議会へ説明します。モデル事業で得た好事例を標準形式で取り込み、他地域へ横展開します。
指定法人・業界団体:参加事業者のデータ様式を標準化し、分別収集から再商品化までのマテリアルフロー全体を把握・集約します。
再商品化事業者:実測に基づく品質グレードと由来証明で自社の再生材を差別化し、需給マッチングで新たな販路を確保します。
再生材利用メーカー(EU輸出企業):マスバランス方式に対応した再生材含有率証明を基盤から調達し、DPP/PPWR対応の証跡として活用します。
こうした活用を制度報告や取引へ広げるには、データと証明の信頼性が不可欠です。本ソリューションは、実測(組成・物性分析)に基づく品質・含有率の裏づけと、制度動向の継続的な調査に基づく設計を組み合わせ、再生材の品質・由来証明の信頼性を確保します。国や自治体のモデル事業(例:環境省「プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業」)で生まれた回収・リサイクルの好事例や実証データを標準形式で取り込み、制度と整合したトレーサビリティの実装につなげます。〔参考: 環境省 プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業〕
基盤設計では、再生材のロット・バッチと発行した証書にIDを付与し、状態(分析・証書発行・移転・利用等)と履歴を管理します。これにより二重計上を防ぎ、後から根拠をたどれる運用を重視します。データは、国・自治体・指定法人・事業者・メーカーといった参加主体ごとに、機密区分に応じたアクセス制御と版管理を行います。さらに、ウラノス・エコシステムのデータ連携標準に準拠し、国内制度と海外(DPP/PPWR)の双方に対する相互運用性を確保します。(※本記載は特定の第三者認証〈ISO等〉の取得を示すものではありません。認証・準拠の要件は対象制度・参加主体の合意に応じて設計します。)
A. 市区町村の分別収集から中間処理・再商品化、再生材製造、製品利用までを国レベルでつなぎ、再生材の「量・質・由来」を証明する全国の基盤です。本ソリューションは、この基盤を国・自治体・指定法人・事業者・メーカーが構築・運営・参加していくための構築支援であり、既存サービスへ「加入」するものではありません。
A. 組成・物性分析の実測データに基づいて品質グレードを付与し、再生材含有率のデジタル証書を発行します。物理的に完全分離が難しい原料では、投入量に応じて再生材の属性を割り当てるマスバランス方式に対応し、DPP連携出力の形で証跡を提供する設計です。
A. 基盤上のマテリアルフローと再生材データから、再生材利用計画・実績報告、容リ法・プラ新法の各種報告データを自動生成します。報告事項である「再生プラスチックの利用量/利用率」「国産再生プラスチックの利用量」も、根拠データとともに管理できます。
A. PPWRはリサイクル材使用の義務化と含有率の証明を求め、トレーサビリティ確保の仕組みとしてDPPを規定しています。本基盤は、マスバランス方式対応の含有率証明をDPP連携出力の形で提供し、ウラノス・エコシステム準拠で欧州側との相互運用性も見据えて設計します。
A. 対象範囲・参加主体数・機能範囲によって変動します。小さく実証してから段階的に広げる前提のため、まずFS・要件定義から着手します。費用は「制度報告の工数削減額+証明コスト削減額+需給マッチングの機会創出−運用コスト」でROIを試算できます(本ページの試算例をご参照ください)。工程ごとの工数・期間は一般的な目安であり、固定金額・納期を確約するものではありません。
A. ウラノス・エコシステムは、企業・業界・国境をまたぐデータ連携の共通枠組みです。本ソリューションはその標準に準拠しつつ、資源循環(分別収集〜再商品化〜再生材〜製品)に特化し、実測に基づく品質・由来証明から制度報告・需給マッチングまでを一つの基盤でつなぐ構築支援である点が異なります。
A. はい。まずモデル事業の採択案件などに対象を絞り、回収から再商品化までのトレーサビリティを実証します。そこで得た好事例・実証データを標準形式で取り込みながら、容リ協会・主要自治体・再商品化事業者へ参加を広げていく段階的な進め方を想定しています。
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