バイオ燃料の環境価値を取引するには、証書だけでなく、信頼できる制度・基盤・運用ルールが必要です。本バイオ燃料スキーム構築支援サービスは、業界団体・バイオ燃料供給事業者・荷主企業が「自分たちの環境価値取引の仕組み」を立ち上げられるよう、制度設計、属性トラッキング基盤の構築、運用ルールの整備を一気通貫で支援します。お客様がスキームのオーナーとして、証書を発行・移転・償却し、自ら運営できる状態になるまで伴走します。
国のクリーン燃料証書制度がまだ設計・実証段階にある今だからこそ、将来の制度接続を見据え、信頼される仕組みを先行して整える価値があります。
「環境価値を取引したい」から一歩進み、「取引できる仕組み自体を作りたい」という段階になると、難易度は大きく上がります。制度設計、属性の追跡、二重計上の防止は、いずれも「信頼される仕組み」に欠かせない要件であり、一つでも欠ければスキーム全体の説得力が損なわれるためです。こうした課題は、立ち上げ主体によって異なる形で現れます。
会員企業を横断したクリーン燃料証書のBook & Claimスキームを立ち上げたいものの、制度設計や属性トラッキング基盤構築のノウハウが社内にありません。二重計上防止や検証体制をどう組み合わせれば「信頼される仕組み」になるのか、設計の起点が見えないという声が多く聞かれます。
自社の供給網(SS等)を核に独自のBook & Claimスキームを立ち上げ、環境価値を商品化する新規事業を構想しているものの、制度設計からシステム構築までをゼロから内製するハードルが高く、着手できずにいます。
グループ会社・サプライチェーン内で閉じたBook & Claimスキームを構築し、Scope1/Scope3対応を統一管理したいものの、グループ横断で証書を発行・移転・償却する基盤がなく、拠点ごとにばらばらに管理されています。
これらの課題への対応を後回しにできない背景には、国の制度整備が本格化しつつある一方で、制度の詳細はまだ確定していないという特有の状況があります。経済産業省・資源エネルギー庁の「脱炭素燃料政策小委員会」は、次世代燃料の環境価値をBook & Claim方式+属性取引で移転する「クリーン燃料証書」制度の創設を検討中です。2025年度に運営体制・規定類を準備し、2026年度に少量サンプルによる第1段階の実証を行い、2026年末を目途に本格稼働の是非を検討したうえで、2027年度以降に取引活性化・海外イニシアティブ対応へ拡張する方針とされています(出典: 経済産業省・資源エネルギー庁 脱炭素燃料政策小委員会 資料7、2026年4月17日)。つまり、制度はまだ設計・実証の途上にあります。
対象燃料も段階的に設定されています。2026年度は、環境価値の分離が可能と判断された「e-ガソリン、SAF、HVO、合成メタン・バイオガス」が対象とされています。特にHVO(水素化植物油/リニューアブルディーゼル)は、複数パターンの検証体制が他燃料に先駆けて整い、既存の軽油商流にそのまま乗せやすいことから、実証の優先燃料に位置づけられています。一方、バイオエタノール・ETBE・FAME(在来型バイオディーゼル)は、証書化ニーズ不足や技術・制度面の課題から、2027年度以降に検討見送りとされています。また、合成メタン・バイオガスについては、Scope1へ適用可能なBook & Claim方式による証書化が解決策として求められており、国内制度は特にScope1充当を志向していることがうかがえます。

排出量制度側の動きも見逃せません。GX-ETSは2026年度に本格稼働し、Scope1直接排出量が3年度平均10万t-CO2以上の事業者が対象となります(対象はScope1のみで、Scope2の電気・熱は対象外)。取引を支える「カーボン・クレジット市場」は、2023年10月に東京証券取引所へ開設済みです。ただし、国際基準のGHGプロトコルは改訂作業中で、証書・クレジット等の市場メカニズムを用いたScope1・3報告は2026年時点では公式に認められておらず、改訂確定は2028年末以降の見込みです。他方、SAF分野ではBook-and-Claim認証がすでに実務で使われ、Microsoft・DHL ExpressがSAF購入証明(SAFc)でScope3をオフセットする事例も出ています。
こうした背景から、「国の本格制度が固まってから動く」のでは、スキームの設計・実証・調整に必要な時間を確保しにくくなります。制度・基準が確定しきっていない今のうちに、将来の公式制度への接続を見据えて自社・業界のスキームを先行整備することが、立ち上げ時の先行者優位と、後戻りの少ない設計につながります。
では、先行整備をどのように進めるのでしょうか。本サービスでは、スキームを構築し、自走可能な状態にするために必要な要素を、課題(Pain)・提供内容(Solution)・技術的裏付け(Technical Enabler)のマトリクスで整理し、構築を支援します。
| Pain(課題) | Solution(構築支援内容) | Technical Enabler(技術的裏付け) |
|---|---|---|
| 対象燃料・算定境界・発行/移転/償却の枠組みをどう決めればよいか分かりません。 | 対象燃料、算定境界、証書の発行・移転・償却ルールを設計し、運用規定として整備します。 | 国のクリーン燃料証書制度(Book & Claim+属性取引)の方向性に沿って準拠設計します。 |
| 燃料の物理フローと環境属性を分離して追跡する仕組みがありません。 | 証書の発行・移転・償却を記録するレジストリ/台帳基盤を構築します。 | デジタル環境属性証書(EAC)の実務(SAFc、海運のプラットフォーム活用例)を参照します。 |
| 「信頼される仕組み」にするための検証プロセスがありません。 | 一意の証書ID管理、償却の一元記録、第三者検証プロセスを設計します。 | HVO等で先行する複数パターンの検証体制の考え方を反映します。 |
| 立ち上げ後の運用や、将来の国制度への接続に不安があります。 | サンプル実証から本格運用、将来の国制度・海外イニシアティブへの接続まで伴走します。 | 実証→本格稼働という国制度の段階設計に整合した運用ロードマップを策定します。 |
すべての提供領域に共通する目的は、「お客様がスキームのオーナーとして自走できる状態」を作ることです。お客様自身が継続的に運営できるよう、設計思想・基盤・ルールをお客様の手に残す点が特徴です。

スキームを自ら保有する最大のメリットは、環境価値を「管理対象」から「活用可能な資産」へ転換できることです。属性を分離・追跡できる基盤があれば、これまで燃料価格に埋もれていた環境価値を証書として発行・移転し、会員企業、グループ内、顧客へ提供できるようになります。さらに、二重計上防止と検証体制を初期段階から組み込むことで、将来の公式制度への接続や外部説明に耐え得る「信頼される仕組み」を先行して確保できます。

定量効果は事業構造によって大きく異なるため、以下はあくまで試算例(仮定ベース)として、ROIを見積もる際の変数と計算式を示すものです。実際の数値は前提条件により変動します。
数値を入力すると概算が自動更新されます。実際の効果や証書単価・構築コストを保証するものではありません。
V・e・pを自社の実データに置き換えて感度分析を行えば、どの供給規模・単価水準で構築投資を回収できるかを事前に把握できます。数値はいずれも前提に依存する試算であり、確定的な効果を保証するものではありません。
こうした効果を実現するため、スキーム構築は段階的に進めます。国のクリーン燃料証書制度が「準備→実証→本格稼働」という段階を踏むのと同様に、お客様のスキームも小さく検証してから拡張する設計とし、手戻りを抑えます。
スキームの目的、対象燃料、参加者、算定境界、発行・移転・償却ルールを定義します。
証書の発行から償却までを記録するレジストリ/台帳基盤を構築します。
二重計上防止の仕組み、一意の証書ID管理、第三者検証プロセスを整備します。
少量サンプルによる第1段階の実証を行い、ルールと基盤を検証・調整します。
お客様による本格運用への移行と、将来の国制度・海外イニシアティブへの接続、参加者拡大を支援します。

自社の内製リソースで一から構築することも可能ですが、制度設計・検証・基盤という専門性の高い要素が重なるため、立ち上げ負荷と設計リスクが大きくなりがちです。自社で構築する場合と、本サービスの構築支援を活用する場合の違いを、観点別に比較します。
| 観点 | 自社で一からスキームを構築 | 本サービスで構築支援を受ける |
|---|---|---|
| 制度設計の知見 | ノウハウを自前で獲得する必要があり、試行錯誤が生じやすくなります。 | 国制度の方向性に沿った準拠設計を伴走支援します。 |
| 立ち上げ負荷・期間 | 要件定義から検証までを内製するため、負荷が集中しやすくなります。 | 段階設計とテンプレートにより、負荷を分散します。 |
| 二重計上防止・検証 | 設計漏れが信頼性リスクに直結しやすくなります。 | 初期段階から一意ID・償却管理・検証プロセスを組み込みます。 |
| 属性トラッキング基盤 | 基盤をゼロから開発する必要があります。 | レジストリ/台帳基盤の構築を支援します。 |
| 将来制度への接続 | 接続要件を独自に追う必要があります。 | 国制度・海外イニシアティブへの接続を見据えて設計します。 |
| スキームの所有 | 自社所有ですが、立ち上げ切れないリスクがあります。 | 自社所有のまま、自走できる状態まで伴走支援します。 |

いずれの場合も、スキームはお客様の所有物です。違いは、「必要な要素を確実に作り切れるか」と「信頼性を初期段階から担保しやすいか」にあります。
本サービスの活用方法を、3タイプの立ち上げ主体ごとに想定シナリオとして示します(いずれも想定であり、特定顧客の導入実績ではありません)。
会員企業を横断してクリーン燃料証書のBook & Claimスキームを立ち上げるケースです。二重計上防止と検証体制を核に据え、国のクリーン燃料証書制度の本格稼働(是非判断は2026年末目途)を見据えて先行整備します。HVOは既存の軽油商流に乗せやすく、検証体制が先行しているため、優先的な対象として設計しやすい燃料です。
自社の供給網(SS等)を核に独自スキームを立ち上げ、環境価値を商品化するケースです。業界動向として、出光興産のリニューアブルディーゼル(IRD)は2024年12月から全国販売が始まり、2026年夏には出光興産・T2・いすゞ自動車による神奈川〜兵庫間の自動運転トラック商用運行でIRDを試験利用する実証が予定されるなど、供給・利用の環境が動いています(業界の一般動向・事例であり自社実績ではありません)。一方、HVO/RDは化石由来軽油より密度が小さく、地方税法上の軽油の定義に該当しない可能性があるなど、税制・規格面の制約があります。こうした論点を織り込んだスキーム設計が求められます。
グループ・サプライチェーン内で閉じたBook & Claimスキームを構築し、Scope1/Scope3対応を統一管理するケースです。先行事例として、商船三井(MOL)がバイオメタノール燃料航海について123Carbonのプラットフォームでデジタル環境属性証書(EAC)を発行し、顧客のScope3削減に活用した例があります(海運分野の先行事例であり自社実績ではありません)。
スキームの価値は、最終的に「信頼できるかどうか」で決まります。本サービスでは、スキーム設計における一般的な信頼性要件として、次の考え方を初期段階から組み込むことを重視します。
証書の発行・移転・償却を一意のIDで管理し、同一の環境価値が二重に主張されないよう、二重計上防止を設計の中核に置きます。次に、燃料の物理フローと環境属性を分離して追跡し、誰が、いつ、発行・移転・償却したかをたどれる透明性を確保します。さらに、第三者検証を前提としたプロセスを設計し、外部説明に耐え得る運用を目指します。
燃料の物理フローと環境属性を分離して追跡し、誰が・いつ・発行/移転/償却したかをたどれる仕組みを設計します。
HVO等で先行する複数パターンの検証体制の考え方とも整合し、将来の公式制度への接続を見据えた土台を設計します。
なお、これらは設計における要件・思想であり、特定の認証取得や導入実績を示すものではありません。
燃料などの「物理的な流れ」と「環境属性(CO2削減価値)」を分離し、属性だけを証書として帳簿上(Book)で移転・主張(Claim)できるようにする仕組みです。本サービスは、お客様がその仕組み自体を立ち上げ、運営できるよう構築を支援します。
スキームがお客様の所有物である点は同じです。制度設計・属性トラッキング基盤・二重計上防止・検証体制といった専門性の高い要素を伴走支援することで、立ち上げ負荷と設計リスクを抑え、信頼される仕組みを初期段階から構築しやすくなる点が異なります。
対象燃料・参加者数・基盤要件・実証範囲によって大きく異なるため、要件定義を踏まえたお見積りとなります。ROIは「発行可能証書量=V×e」「想定環境価値=V×e×p」から構築・運営コストCを差し引く試算例(仮定ベース)により、事前に見積もることができます。
国の制度は、2026年度に少量サンプルによる第1段階の実証を行い、2026年末を目途に本格稼働の是非を検討する設計・実証段階にあります。本サービスは、その方向性(Book & Claim方式+属性取引)に沿って準拠設計し、将来の公式制度への接続を見据えたスキームを先行整備することを目的としています。
国の制度で2026年度の対象とされているのは、e-ガソリン、SAF、HVO、合成メタン・バイオガスです。特にHVOは検証体制が先行し、既存の軽油商流に乗せやすいため、優先的な対象として設計しやすい燃料です。なお、バイオエタノール・ETBE・FAMEは2027年度以降に検討見送りとされ、現時点では証書化の対象外です。
Scope1への充当は国内制度が目指す方向性ですが、2026年時点ではまだ実証段階であり、GHGプロトコル上も市場メカニズムによるScope1・3報告は公式には認められていません(改訂確定は2028年末以降見込み)。そのため本サービスは「今すぐ公式に控除できる」ものではなく、将来の対応を見据えて先行整備する位置づけです。
要件定義・制度設計 → 属性トラッキング基盤の構築 → ルール・検証体制の整備 → 実証運用 → 本格稼働・拡張支援、という段階を踏みます。小さく検証してから拡張することで、手戻りを抑えて立ち上げられます。
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